消費ってなんだよッ!!

オタクとは何か? オタクとは、オタクコンテンツを「消費」する者たちだ。

オタクコンテンツとは何か? オタクコンテンツとは、オタクが「消費」の対象にしたコンテンツだ。

オタクはなぜ悪い? オタクは「消費」するからだ。

 

私にはこの「消費」がわからない。オタクやオタクの一部についてネガティブに語る人の中には、「消費」という言葉でもって「消費者は悪である」との言葉に代えようとしている人が少なからずいる。

 

『安直に「消費」しているオタクへの嫌悪感やばい』

 

『それは「消費」である』とさえ指摘すれば、安直に「消費」している人々は自分の愚かさにひとりでに気づいてくれると思い込んでいる人がいる。

 

『お手軽に「消費」してんじゃねーよオタクども』

 

そう、こんな感じだ。そして、こういう人たちの中に、「消費」という言葉の定義をきちんと行わないにもかかわらず、「消費は悪である」というテーゼだけは前提抜きに受け入れている人というのが、また少なからずいる。

人々が「消費」と呼んで指そうとしているものの内実が、たいていの場合、私にはさっぱり見えてこない。おお、「消費」批判者たちよ、頼むから、「消費」を批判したいなら、「消費とは何なのか」その定義を、逐一自分の言葉で説明してくれ。

もし万が一あなた方が、「消費とは何なのか」を少しも考えたことがないのにただ「消費は悪である」というテーゼから出発しているのだとすれば、それは不当だ。あなた方は、ボードリヤールが言ってきたことの内容をまるで理解せず、その結論だけをかすめ取っていることになる。そのようなことは許されない。「消費」と離れがたい人生を送ってきた私が許さない。

 

『ならば「消費は美徳」とでもいうつもりか? そんな考えはとっくの昔に廃物と化しているが?』

 

もしあなたが、「60年代以降、「消費は美徳」という考え方が生まれ、90年代以降、「消費されるものだけが豊かさではない」という考え方が(再)発見されてきた」という程度の話でもって私のお願いを封殺しようとしているのであれば、それはナンセンスだ。その程度の話はただ、「消費」に対する世の中の印象が変化してきたということを言っているにとどまるのであって、「消費」そのものについて何も言ってはいない。そう、確かに「本質」は時代によって変化する、しかしそのことによって、ただちに『消費の本質は「現在嫌われものである」というところにある』などとは言えないはずだ。

 

『いくらなんでも、毎回自分の言葉で「消費」の定義を説明していたら時間が足りない。ボードリヤールくらいは共通前提にさせてくれ』

 

そうか、私がボードリヤールも読んでいないくせに批判者と同じフィールドに立とうとしたことがそもそも間違いだったか。それは、もう、反論のしようもあるまい。私が悪かった。もうあなた方と話すことは何もない。

そう、“何も”ない。「考えなしに消費してんな」といくら声高に叫んだとて、その批判を私が真面目に聞いてやる義理は一つもない。前提知識が足りない私は、すでに議論の場から締め出されているのだから。